国賓待遇で米国を公式訪問中の岸田文雄首相は９日午後（日本時間１０日未明）、首都ワシントンで全米日系米国人慰霊碑を訪問した。今年は日系初の米連邦議員、ダニエル・イノウエ氏＝２０１２年死去＝の生誕１００年に当たり、首相は記念となるソメイヨシノの苗木を植樹した。

行事には長男のケン・イノウエ氏や現役の日系上下両院議員らも立ち会った。ケン氏は行事に際して産経新聞の取材に応じ、日米関係について「時間をかけて着実に強化されてきたし、これからも強くなる」と語った。主なやりとりは次の通り。

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－－現在の日米関係をどう思うか

「私の住むハワイには非常に大きな日系人社会があり、日本から訪れる人々も大勢います。日米関係は他の関係と同様に当然、浮き沈みがあると思いますが、ハワイでも他の米国のどの都市でも、世間一般は日本を非常に好意的に見ていると思います。日米関係は時間をかけて着実に強化されてきたし、これからも強くなっていくでしょう」

－－ケン氏が米国で青少年時代を過ごした１９６０年代頃と比べるとどうか

「私が子供の頃は１９６０、７０年代の話で、もう何年も前の話ですが、当時の米国内では日本を好意的に見ていない地域もたくさんありました。８０年代には（日米貿易摩擦の激化など）いくつかの問題もありました。しかし、時がたつにつれて関係は着実によくなっていきました。今や若い世代は、日本が米国にとって単なる同盟国ではなく、強力な同盟国であり、単に関心を引く国ではなく、世界と分かち合う文化のある魅力的な国だと分かっています。

「振り返ってみると、私が生まれて間もない頃と現在とでは、若い米国人の日本に対する視線が異なるのが印象的です。非常に前向きなことですし、この傾向が続くことを願うばかりです」

－－岸田首相は今回の訪米で人的交流にも重点を置くが、故ダニエル氏はどんな考えを持っていたか

「人と人との交流は重要だ－。私が子供のころ、父がよく言っていたことです。父はいつも、世界をよくする唯一の方法は人々が協力することだと話していました。大きな団体や交渉団同士での協力だけでなく、一対一で相手を知ることで、分断より共通点の方が多いことが分かるものだと言っていました」

「もし日米が互いの違いに集中するなら物事はそのように決するでしょう。しかし日米が類似点や共有しているものを重視すれば、そこには常に関係やチームが出来上がります。日米が誠意を持って取り組む限り、両国関係はさらに磨きがかかると思っています」

（聞き手　岡田美月）