「国民に心よりお詫びする」。

権寧世（クォン・ヨンセ）国民の力非常対策委員長は４日、硬い表情で頭を下げた。尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領に対する罷免宣告から６分後に壇上に立った権委員長は「憲法裁判所の決定を謙虚に受け入れる」と述べた。続いて「考えと立場は異なるかもしれないが、憲法裁の判断は憲政秩序の中で下された終局的な決定」とし「この決定を尊重することが民主主義と法治主義を守護する道であることを強く信じる」と述べた。特に熱烈支持層を意識するように「いかなる場合にも暴力や極端な行動があってはいけない。分裂と葛藤をやめて共同体回復の道に進まなければいけない」とし「それこそが大統領と国のための道」と強調した。国民の力の公式反応はこのように承服だった。

早期大統領選挙体制への転換も急いだ。３時間余りの議員総会後の結論だった。国民の力の権性東（クォン・ソンドン）院内代表は「２カ月後は大統領選」とし「すべての立場の違いを払拭し、新たに出発しなければいけない。時間が十分でないが、絶対に退くことはできず負けてはならない選挙」と強調した。特に「血と汗と涙で守って育ててきた大韓民国の未来を危険な李在明（イ・ジェミョン）勢力に任せることはできない。我々から一つになければいけない」と訴えた。

しかし長い葛藤はすぐには消えない。非公開議員総会では弾劾反対派議員らの激しい発言があったという。出席者によると、羅卿瑗（ナ・ギョンウォン）議員、鄭点植（チョン・ジョムシク）議員は「団結もよいが、綱紀粛正が必要だ。弾劾に公開的に賛成してメディアに積極的に知らせた人たちに対して措置を取らなければいけない」と主張した。金起荽（キム・ギヒョン）議員も「８０議席、９０議席の少数精鋭になっても考えが同じ人たちが党を構成しなければいけない」と主張した。ある議員は「膿は肉にならない」と話したという。一方、「国民の客観的な観点とあまりにも距離があった」という自省の声は少なかったという。弾劾賛成派に分類される議員は「我々が今日、公開的に何の話ができるのか。静かに聞くだけにして出てきた」と語った。

この日の非公開議員総会では権寧世委員長が「私の去就を含めて議論してほしい」と述べたが、党内では党指導部が辞退する可能性は低いという見方が多い。ある議員は「大統領選まで時間があまりにも少ない」と話した。権院内代表は議員総会の最後に「１、２日間ほど熟考し、６日に議員総会をまた開こう」と伝えたという。

こうした中、潜在的な大統領選候補らは公式的な反応を控えた。弾劾に反対した保守支持層の怒りを意識するように早期大統領選への言及を自制した。

弾劾に反対した金文洙（キム・ムンス）雇用労働部長官は宣告の後、「国民が選出した大統領が憲法裁でまた罷免されたのは残念だ。この痛みを乗り越えて偉大な大韓民国に発展するよう力を合わせよう」とコメントした。呉世勲（オ・セフン）ソウル市長はこの日、立場を表明せず、集会など衝突状況に対応したソウル市内の現場管理に集中した。呉市長側は「呉市長は衝突事態に備えて週末まで平日体制で業務をする予定であり、政治的な言及は最小化するだろう」と伝えた。

韓東勲（ハン・ドンフン）前代表はこの日午後、「支持者と党員同志の苦痛・失望・不安を共にする」とし「苦痛があっても互いを非難せず共に進もう」という立場を表した。韓前代表側は「出馬宣言など本格的な準備は慎重に速度調節しながら党員と支持層を労る時間を十分に持つ」と述べた。韓前代表は代表当時、尹前大統領に対する弾劾訴追案可決過程で党内の葛藤を経て代表職を辞任した。

洪準杓（ホン・ジュンピョ）大邱市長はこの日、自身の政治プラットホーム「青年の夢」で、大統領選出馬を勧める文に「３０年準備したことをすべて出す」と答弁した。「笑う状況ではないが余裕を持って進んでいく」「ラストダンス」とも書いた。洪市長は３日、自身の政局構想を込めた著書『第７共和国先進大国時代を開く』を脱稿したと明らかにした。

政界は候補らが来週から本格的な大統領選の準備に入るとみている。「李在明有力論」の共に民主党とは違い、国民の力は確実な１トップ候補がいない混戦様相だ。

このほか、金起荽議員、・羅卿瑗議員、安哲秀（アン・チョルス）議員など重鎮と劉承旼（ユ・スンミン）元議員、元喜龍（ウォン・ヒリョン）元国土交通部長官らも出馬する可能性に言及される。国民の力の党内選挙は党員投票５０％、国民世論調査５０％を反映する。国民の力の関係者は「タイトな大統領選スケジュールを考慮すれば約３週以内に党内選挙が終わりそうだ」とし「候補らは党内選挙では党心に訴え、大統領選では反李在明を旗幟に中道拡張を狙うだろう」と話した