先月１０日午前、京畿道平沢市獐堂洞（キョンギド・ピョンテクシ・チャンダンドン）のある食堂。４５人乗りのバスが店の前に停車すると、「溶接士」 「配管士」と書かれた作業用チョッキを着た２０人がバスから降りてきた。向かい側のサムスン電子半導体工場建設現場の作業員らだ。この店を経営するソンさん（６３）は「昨年はバス３台で昼・晩に２４００－２５００人ずつ移動させていたが、今年は一日に３００人も来ない」と話した。韓国外食業中央会平沢市支部のキム・チャングン次長は「５０店以上あった建設現場の食堂が２０店に減った」とし「店を閉めて逃げる社長が増えたため、最近、食材会社は現金しか受けない」と話した。

同日、古徳洞（コドクドン）にあるサムスン電子平沢キャンパス正門前の不動産仲介業者には「この場所賃貸問い合わせ」と書かれていた。近隣の不動産仲介業者は「不動産も廃業する状況」と伝えた。空き店舗が並ぶ通りには平沢市所得税納付案内の横断幕がはためいていた。

半導体工場の建設がストップした平沢市の現状況だ。サムスン電子が２０１５年から２８９万平方メートル（約８７万坪）規模で６本の生産ライン（Ｐ１－Ｐ６）建設を推進したが、昨年１０月に完工する予定だったＰ４は工事が中断し、Ｐ５も基礎工事後に進展がない。ＤＲＡＭ供給の過剰とファウンドリーの受注不振が重なり、工事の日程が延期された。

韓国半導体産業がふらつくと、半導体都市の地域経済も厳しくなった。半導体工場は大規模な建設プロジェクトであるだけに建設業雇用誘発効果が大きい。統計庁によると、今年３月を基準に工事が進行中の半導体工場が集まる京畿道の建設業就業者は５５万３０００人と、前年同月比１０％減少した。これは同月の全国建設業就業者減少率（－８．７％）より大きい。

半導体業況は地方自治体の税収に影響を及ぼす。京畿道平沢が代表的な例だ。平沢市の法人地方所得税の半分（５２％）を占めていたサムスン電子の昨年の納付額は０ウォン。今年は５１６億ウォン（約５２億円）を納付すると申告したが、２年前（１３９３億ウォン）の半分にもならない。今年の平沢市全体の法人地方所得税歳入は１５８１億ウォンと、２年前に比べ４０．７％減少した。平沢市庁税政課の関係者は「減少分を補填するために滞納徴収を強化し、非課税項目に対する全数調査をする状況」と話した。
（引用ここまで）

　サムスン電子が半導体受託製造を縮小しつつあり、かつDRAM工場も建設を急がないってなっています。
　その結果、工場需要で潤っていた平沢市がかつてない不況に陥っているとのお話。
　まあ、工場があるかないかってこういう話なんだよなぁ。

　工場を建てる建設業従事者がいて工場に勤める労働者がいる。
　そこだけで完結しているわけではなく、それらの人々が服を着て食事をして夜になれば家に帰って寝る。
　そうしたお金の循環は大元の工場がなくなることで終わってしまう。

　2010年前後に異次元ともいえる円高が放置されたことで、国内工場を閉鎖して国外に製造工場を作る企業が多数出ました。



　結果としてこうした工場とその周囲の生態系もろとも破壊されたのですよね。
　そのリプレイを現在、韓国でやっているわけです。
　かつて韓国GMが工場を閉鎖した際の蔚山は、出生率が明白に下落したって話でしたね。



　今回の平沢での困窮もかつてあった勢いが韓国から失われつつある象徴といえますか。
　2040年にも韓国の潜在成長率はマイナスになるとの提言があったそうですが。

「潜在成長率、このままいけば２０４０年代にマイナス」…韓国開発研究院、構造改革を注文（中央日報）

　現在やっている以上に雇用流動性を増すのであれば逃れられる可能性がありますよ。
　上澄みだけが儲けて「購買力のある中流」が消えていく社会が生まれるでしょうけどね。
　でもまあ、ここ20年くらいの韓国が追い求めていた経済構造ってそういうものですよね。
　弱者は切り捨てて勝者だけを讃えるっていう。