李在明（イ・ジェミョン）大統領は5日、ソウル市竜山区の韓国大統領府で就任後最初の国務会議（閣議に相当）を招集した。新政権の長官がまだ任命されていないため、李在明大統領は李周浩（イ・ジュホ）社会副首相兼教育部（省に相当、以下同じ）長官をはじめとする尹錫悦（ユン・ソンニョル）政権で任命された長官らと国務会議を行った。

　李在明大統領は国務会議の冒頭「少しぎこちないですね。ちょっと笑顔でやりましょう」と口火を切った。李在明大統領の言葉に出席者の間から小さな笑い声が出た。李在明大統領は「私たちは全員が国民から委任を受けた業務を行う代理人」とした上で「非常にぎこちないかもしれないが、公職の立場にある期間は各自やるべきことに最善を尽くせばよい」と述べた。

　国務会議は午前10時に始まり、午後1時40分ごろまで約3時間40分にわたり非公開で行われた。国務会議を前に韓国大統領府は19部（省に相当）、金融委員会、公正取引委員会に対して5分間の懸案報告を求めたという。李在明大統領が各部処（省庁）にさまざまな質問を行い、長官や次官らがそれに答える形で会議が長引いたようだ。

　昼食時間には「弁当会議」となった。キムパ一本と水が昼食として提供された。ある出席者は「李在明大統領は『とても苦労させて申し訳ない』と言っていた」と伝えた。李在明大統領は午後2時から安全治安点検会議に出席予定だったため、国務会議は経済分野を中心に10部からの報告で終わった。

　韓国大統領府の姜由楨（カン・ユジョン）報道官は「李在明大統領は海洋水産部の釜山移転に向け早急に準備するよう指示した」「公正取引委員会の人材補充の必要性や勤労監督官（労働基準監督官に相当）増員の必要性などにも言及した」と明らかにした。政界からは今回の国務会議について「李在明大統領は前政権の長官・次官の軍紀を強く握ったのでは」との見方も相次いでいる。韓国大統領府関係者は「李在明大統領は業務へのモチベーションが非常に高い」と伝えた。

　李在明大統領は午後に招集した安全治安点検会議で「国家の存在理由のうち最も大きなものは国民の生命と安全を守ることだ」と述べた。李在明大統領はセウォル号惨事、梨泰院惨事、五松地下車道惨事などに言及し「人が死ぬとかいう重大事件が発生した場合、迅速に原因を究明し、それが不注意や無関心などが原因であれば厳正に責任を追及しようという考えに至った」と述べた。李在明大統領は会議に黄色の民防衛服を着用して出席した。文在寅（ムン・ジェイン）政権の民防衛服だが、尹錫悦政権では緑に変わった。李在明大統領は「地方自治体などは服を変えようと無駄に金を使わないように」「私はぴったりの服がなかったので合うのを着たらこれ（黄色）になった」と語った。

　新政権の名称が「国民主権政府」と伝えられていることについて姜由楨報道官はブリーフィングで「確定したわけではない。今は李在明政権だ」「国民が別称を認知してそれを使えば、国民主権政府という性格が規定されるかもしれない」との見方を示した。