11月15日、野球の日本代表と韓国代表が東京ドームで強化試合「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025」を行ない、侍ジャパンが11対４で勝利した。大敗した隣国メディアは、この試合の球審に強い不満を募らせている。

韓国メディア『デイリーアン』は16日、「誤審にローカルルールの理解不足。ジェン・パウォル球審とは？」と銘打った記事を掲載。同試合で起きた疑惑の判定について不信感を露わにした。

物議を醸した場面のひとつは、３対３の同点で迎えた５回。ムン・ヒョンビンの打球が、日本の３番手・松本裕樹の足に当たって跳ね上がり、一塁手・佐々木泰が捕球したプレーだ。球審パウォル氏は「打球は地面ではなく投手の足に当たって跳ねた」と判断し、ファーストライナーのアウトを宣告。４人の審判団による協議も行なわれたが、判定は覆らなかった。しかし、リプレー映像では打球が地面に触れたようにも見えるため、韓国側を中心に波紋が広がった。

さらに韓国側にとって不運な判定は続いた。５回裏、日本の２番・野村勇がキム・テギョンの６球目を打った打球が、ファウルゾーンの天井に当たり落下。東京ドームではファウルゾーンの天井に当たった打球はファウルとする「ローカル・ルール（東京ドーム限定」があるが、パウォル球審はこれをファウルではなく“二塁打”と判定した。ここでも再び審判団で協議が行なわれ、最終的にファウルへと訂正された。

試合後『デイリーアン』は「韓国野球が“あまりに理不尽な誤審”に頭を抱えた」と報じ、「アメリカと並ぶ世界野球の二大勢力にまで成長した日本は、現在の韓国の戦力を考えれば難敵であることは間違いない。しかしそれとは別に、この試合には大きな“荒れ要因”があった」と指摘した。

同メディアが挙げた荒れ要因とは、前述の疑惑の判定を下したパウォル球審である。記事では「メジャーリーグ150年の歴史で初の女性審判として注目されてきた人物だ。今年８月にはマイアミ・マーリンズ対アトランタ・ブレーブスのダブルヘッダー第１試合で一塁塁審を務め、10日には主審としてもデビューした」と紹介。そのうえで、「しかし、彼女の判定は誤審だらけだった」と問題視。韓国の流れが食い止められ、逆に５回裏に日本が一挙６得点を挙げて試合を決定付けたことが、より主審への苛立ちを募らせたようだ。

韓国のリュ・ジヒョン監督は試合後、韓国プロ野球（KBO）とのルールの違いが試合に与えた影響についての考えを記者会見で語っており、５回表のノーバウンドの判定については「KBOではグラウンドで起きたものはビデオ判定が可能だが、WBCではルールが違うとのことだった。角度的にもバウンドしたと思うが、（審判団として決定した）ジャッジは覆せないと言われた」と振り返り、「少し残念な判定だ」と述べている。

構成●THE DIGEST編集部