JAXAの研究施設である相模原キャンパスに一般人の立ち入りが許可される「特別公開」に行ってきました。入場無料。


夏休み中なので家族連れも多いですね。

複数の公演が異なる場所で並行して行われていますので、全てを一人で聞くことは不可能。なのでいくつかピックアップして紹介します。


【小惑星探査機「はやぶさ2」】
ほとんどの講演は予約不要で聞けますが、一部は整理券が必要。はやぶさ2のプロジェクトマネージャによる講演は整理券を取り逃して聞けませんでした。残念!
「はやぶさ」の実物大模型が展示されています。
なお、「はやぶさ2」の実物大模型は、7/19~9/23で幕張メッセで開催されている宇宙博に展示してあります。「はやぶさ」と「はやぶさ2」の外見上の大きな違いは、円盤状のアンテナが1個か2個か。

【焼そば】
屋台で焼そばを売ってました。形が崩れてしまいましたが、2枚の海苔が太陽電池パネル、2個の玉子が2枚のアンテナを示します。つまり「はやぶさ2」の焼そばです。

【イトカワの砂粒を見てみよう】
小惑星探査機「はやぶさ」によりイトカワから持ち帰った粒子を顕微鏡で拡大して公開。

【月着陸・探査ミッション(SELENE-2)】
SELENE計画「かぐや」において月上空からの観測を行いましたので、次は着陸してからの探査を予定しています。
それなりのスペースを確保して月面探査についての展示。

月着陸船および月面探査ロボット(ローバ)の技術が問題。2週間続く昼は120度、2週間の夜は-200度となります。夜間は太陽電池が使えず保温が問題となり、かといって断熱材を増やすと昼間の放熱性に問題が出ます。
http://www.jspec.jaxa.jp/activity/selene2.html

【UZUME計画】
そんな過酷な環境で、将来的に基地として使えそうな縦孔・地下空洞を探すのがUZUME計画。溶岩チューブという空洞の上に隕石で穴が開いた箇所を探す。地下なら宇宙線・紫外線から守られ温度も安定します。
SELENE-2にて月面に行き、縦孔に小型のロボットを投げ込むことも検討しているとのこと。これで長期滞在を可能とする地下空洞が見つかるといいね。
これの講演がおもしろかった。日本の月探査機 SELENE「かぐや」で月の縦孔を発見したものの、性能が低く詳細が分からない。その後にアメリカの高性能な探査機が月に行く予定があったので、発見した縦孔の位置を伝えて「ちょっと見てきてくれよ」と頼んだとのこと。
ところが探査機が帰ってきても詳細を教えてくれない。このままだと縦孔発見の功績がアメリカのものになってしまうので慌てて論文を書いて発表したとかね。
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/event/2014/0725_open/image/leaflet/1-5.pdf
http://www.srg.mech.keio.ac.jp/uzume


【宇宙探査ロボット大集合】
大学で製作したロボット。カメラで地形を認識し自己で判断して大きな岩は避け、小さな岩を転倒せずに乗り越える機能を有します。1大学だけ、福島で人間が立ち入れない場所での使用を想定しているものもありました。

ロボットアームを展示した大学もあり。

【小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」】
14m四方の正方形の薄膜太陽電池を宇宙で広げ、発電を確認したのが「IKAROS」です。セイルを宇宙空間でスピンの遠心力を用いて展開しました。
宇宙空間での小さなゴミにより微細な穴が開くので、穴が広がることを防止するために縦・横に強度があるテープが貼ってあるとのこと。
http://www.jspec.jaxa.jp/activity/ikaros.html


【ソーラー電力セイルによる木星圏探査】
太陽から離れるほど太陽電池の発電能力は落ちます。かといって太陽電池を大きくすると重量が大きくなり打ち上げおよぶ宇宙での推進が問題になります。
軽量かつ大面積な50m以上のソーラー電力セイルを用いることによって可能となるのが木製圏探査です。イオンエンジン進み木星でフライバイを行い、打ち上げ15年後にトロヤ群小惑星の観測を行います。
それ以上は衛星の寿命の保証ができないが、もし可能であれば打ち上げ30年後の地球への帰還を目指すとのこと。開発者は退職し、次の世代の技術者に引き継がれる仕事です。
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/event/2012/0727_open/leaflet/image/018.pdf
【ジオスペース探査衛星(ERG)】
放射線帯(ヴァン・アレン帯)の探査が目的。
計測器の壁を貫通するような強い放射線の中で観測を行います。10eVの電子を測っている計測器に、1,000,000eVのイオンが紛れ込むような状況なので大変らしい。
探査衛星は2015年にイプシロンロケット2号機で打ち上げ予定。
http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2006/miyoshi/index.shtml
【ハイブリッドロケット】
固体燃料に液体酸化剤を吹きつけ燃焼させるハイブリッドロケット。燃料が固体なので液体燃料ロケットよりも単純で低コスト、燃料と酸化剤が分離しているので固体燃料ロケットより安全とのこと。
【イプシロンロケット】
開発者が、固体ロケットの遺伝子は「非常識への挑戦」だと語ってました。
まずは1950年代のペンシルロケット。木の枠に薄い紙を貼り付けたものを多数ならべ、水平にロケットを発射して紙が破れるタイミングや破れ方で飛翔状況を観測したという。

誘導装置はミサイル開発に繋がる軍事技術への転用が可能であるとの難癖により、レーダーも誘導制御技術もなしで斜めに打ち上げたラムダロケット。
そして管制員が8名、2台のノートパソコンで打ち上げが可能となったイプシロンロケット。たとえばアメリカのアポロ計画であれば100名の管制官が必要だったところ、イプシロンロケットなら2桁少ない8名。そして固体ロケットによる惑星探査機の打ち上げ。これも非常識。
最初の打ち上げ予定は8月中であったが、ケアレスミスにより延期。開発者はロケットに「打ち上げられなくてごめん」と謝ったという。8月予定だったのは世間が夏休み中で、大勢の人に打ち上げを見てもらえるようにとのこと。
それから総点検を2週間で実施。9月には3連休が2回あったが、最初の3連休の初日に打ち上げ。これも大勢の人に打ち上げを見てもらえるようにとのこと。
イプシロンロケットについては東南アジアやヨーロッパから打ち上げ依頼の話が来ているとのこと。まずは2段目の改良、それから1段目と3段目の改良も行いたいと語っていました。まずは2015年にジオスペース探査衛星(ERG)の打ち上げを予定しています。
【愚痴】
では日本の宇宙開発の未来が明るいかというと「予算不足」により、そうでないのよね。少ない予算で知恵を絞って、世界初の小惑星からのサンプルリターンやイプシロンなどの成果を出してきたのが現状。
日本独自の足枷としては、原子力電池(RTG)を嫌うというのもあります。だから月面探査機はリチウムイオン電池で越夜に挑むし、木星に向かう宇宙探査機もソーラーセイルを使用します。