
海外に新幹線売り込め JR東海、各地計画にPR本腰
2009年12月8日11時6分
新幹線やリニアモーターカーといった高速鉄道の輸出事業にJR東海が本腰を入れている。幹部が各国に直接乗り込んでのトップセールス、高速走行試験への大使館幹部の招待……。米国をはじめ世界各地で高速鉄道計画が具体化するなか、ライバルに先んじようと躍起の取り組みが続く。
「高速性、快適性、省エネルギー性、どれをとっても当社の新幹線が世界一の高速鉄道だ」。先月16日、名古屋市で開いたシンポジウム。JR東海の葛西敬之会長は、米国やエジプトなどの大使館幹部を前に力説した。記者会見では、2025年に東京―名古屋間で開業予定のリニア中央新幹線についても「興味がある国が多い」と将来の輸出に意欲を示した。
シンポの後に実施した走行試験では最新型車両のN700系を使い、東海道・山陽新幹線の営業用車両としては国内最速となる時速332キロを記録した。
ライバルと目されるドイツICE3、フランスTGV―POSの営業最高速度320キロを意識した数字だ。
同社がJR西日本と共同開発し、07年7月にデビューしたN700系の営業最高速度は、カーブの多い東海道で270キロ、比較的直線が多い山陽では300キロ。JR東海は「住宅街を走る日本では騒音に配慮して抑えている」といい、葛西会長は東海道も300キロまで引き上げる意向を表明している。
同社が海外に売り込むのは、N700系を基に各国の実態に合わせたシステムを組み込む「N700Iブレット」だ。07年開業の台湾高速鉄道(台湾新幹線)で導入された車両はN700系の改良型。日本の新幹線システムが初めて輸出されたが、ポイントはドイツ、無線はフランスと日欧混在型になり、考えていたほど日本のメーカーが潤わなかった反省がある。
同社が照準を合わせるのは米国だ。オバマ大統領は今年4月、ワシントン―ニューヨーク間やカリフォルニア州などの路線計画を発表。雇用創出と原油依存の脱却につながるとして、高速鉄道計画に取り組み始めた。
6月には葛西会長が訪米。米運輸長官に新幹線システムの採用を直接働きかけ、ワシントンで行ったセミナーでも「N700Iが世界の高速鉄道の中で一番米国にふさわしい」とPRした。
新幹線はICEやTGVと比べて定員が多いという長所がある。また、03年のカリフォルニア地震以降、米国では耐震性も重視されるようになり、地震に強い新幹線は有利という見方がある。9月にはインディアナ州知事が東北、ウィスコンシン州知事が上越の両新幹線を試乗。JR東日本や国土交通省の担当者らが説明に当たった。
JR東海は米国のコンサルタント会社とも契約を結んだ。年内に各国の状況を分析した報告書を受け取り、来年には集中的に売り込む国を絞り込むという。
11月の高速走行実験とシンポジウムは、いわばそのための「見本市」だった。松本正之社長は「反応は上々。開業から45年と世界の高速鉄道で最も歴史がある新幹線への自信が深まった」と言う。(小林誠一)
asahi.com(朝日新聞社)海外に新幹線売り込め JR東海、各地計画にPR本腰
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