乗りかかった船、ですので、もう少しカリフォルニア高速鉄道計画と
彼の地における「混合運行」計画について現状の情報収集と整理を進めたい、
と思います^^
誰かさんの牽強付会な議論と願望とで、いつも奇妙な展開になっていますが、
少しでも状況の真相に近づくことができれば・・・ということで^^
◇混合運行に関する法令とCaltrain/CHSRAの動向整理
現行の米国規制(Title 49 CFR)(FRA管轄)
・重量級貨物列車との混合運行を前提とし、最も衝突安全性に厳しい内容
・衝突を回避するために列車の運行間隔を十分に空けることを規定
↓
(条件付緩和措置)
↓
Caltrainが取得した免除(waiver)内容
・以下の主たる条件を前提に、現行法に適合しないが、欧州衝突基準に適合する電車
(electric multipe-units =EMU)を、現行法に適合する(重たい)電車と混合運行してもよい
・欧州衝突基準(CEM)に準拠するかそれを超える安全性を持つEMU車両の導入
・EMU運行前に踏み切り設備を全て改善完了していること
・FRA標準に適ったポジティブトレインコントロール(PTC)の導入
・貨物列車との運行時間帯の隔離(貨物列車は深夜0時~AM5時の間のみ運行)
(注:Caltrain サンフランシスコ半島部において CHSRA =高速鉄道と路線供用を検討している
地域Commuter鉄道)
CHSRAが今後FRAに働きかける内容 =未定であり、現在検討中である
・高速列車の走行を前提とした米国法規は現存せず、新たな基準なり規定を作成し
高速列車の運行に適した新たな法規を制定するか、または特例免除を受けるかする
必要がある
====================================
以下は、CA4HSR(民間のカリフォルニア高速鉄道協議団体)の運営するサイト
「California HSR Blog」において、精力的に路線・運営の検証をすすめ、
その成果を公表している Rafael氏の記事から、CHSRAの検討する混合運行
について理解の助けになると思われる最近の文章を引用します。
The business case for California HSR requires that express trains make the SF-LA run in well under 3 hours, which implies cruise speeds of around 220 mph in the Central Valley. Without that, the whole project makes no sense.
カリフォルニア高速鉄道のビジネスケースでは、サンフランシスコ~ロサンジェルス間の特急列車は3時間を下回る時間で走破する必要があり、そのことはCentral Valley地区を220 mph(約350km/h)ぐらいで運行する必要を意味しています。それが実現しないならば、このプロジェクト自体に意味がありません。
The upshot is that California HSR must be based on state-of-the-art, lightweight rolling stock that meets international but not the Federal Railroad Administration’s (FRA) rules on crash safety. The former emphasizes active safety (i.e. expensive grade separations and signaling) to support high volumes of passenger rail traffic, plus some light/medium freight. The latter is based primarily on passive safety (i.e. few but very long trains and cheap signaling) to keep costs down for privately owned and operated networks of super-heavy rail freight, plus a smattering of super-heavy passenger trains that cost (taxpayers) an arm and a leg to own and operate. Note that passive safety is largely ineffective for train-on-train collisions at relative speeds exceeding 10-15mph.
要するに、カリフォルニア高速鉄道は、最新鋭の軽量列車で運行せねばならず、それは国際的には適法でも、FRAの衝突安全基準は満たさないことを意味しています。前者(諸外国の高速鉄道)は、大量の旅客列車(プラスいくらかの軽量/中重貨物)を走らせるためにアクティブセーフティ(すなわち費用のかかる立体交差や信号システム)を強調します。後者(米国現状)は、私企業が所有し運行する超重量級貨物列車のコストダウンを図り、また所有・運行に滅茶苦茶高額な費用がかかり乗客にその負担を強いる、ほんの少量ばかりのとてつもなく重たい旅客列車を走らせるために、基本的にパッシブセーフティ(すなわち本数は少なく、しかしとても長い列車編成および簡単な信号システム)を基礎としています。参考まで、パッシブセーフティでは、相対速度で10 mph~15 mph(16km/h~24km/h)を超える列車VS列車の衝突では効果がないと言われています。
http://www.cahsrblog.com/2010/04/the-consequences-of-hsr-misinformation/
(a) Regulatory contraints. At this point, CHSRA is not yet ready to submit a request for a “rule of special applicability” with FRA. New rulemaking is required to operate trains at speeds in excess of 150mph and many other aspects of HSR operations. In particular, CHSRA has so far assumed that getting the green light from FRA would only be possible if non-compliant HSR trains ran on dedicated tracks throughout its entire network with the exception of the DTX tunnel. The original plan to serve Anaheim via mixed traffic operations in a newly grade separated dual track section south of Fullerton was eliminated in favor of quad tracking, last not least to avoid falling foul of FRA.
現在のところ、CHSRAは「特別に適用されるルール」をFRAに対してリクエストする準備が整っていません。150 mph(約240km/h)を越えたり、他にもさまざまな配慮すべき側面がある高速鉄道列車の運行については新たなルールづくりが必要になります。特に、CHSRAはこれまでのところFRAから認可を受けるために、(FRAの)基準を満たさない高速列車を、その路線ネットワークの全ての区間において専用軌道で走らせる必要があるとしてきました。ただ、DTXトンネル(注:サンフランシスコ半島の先端部、Transbay駅に至る最終区間)の例外を除いて。当初、Anaheimへの路線で、(南カリフォルニア地区の)Fullertonの南に想定していた新たな立体架設の複線上における混合運行は、何よりもFRAの基準を満たさないことから却下され、複々線を選ぶことになりました。
However, the fact that Caltrain got a waiver subject to conditions that could just as easily apply to HSR in standard-speed sections suggests that FRA is actually more receptive to mixed traffic than it has been in decades.
ただ、Caltrainが条件付で得た免除措置は、中低速区間において高速鉄道にも援用することが可能と思われ、そのことはFRAがこれまでになく混合運行については実際には寛容になっていることを示しています。
http://www.cahsrblog.com/2010/06/the-caltrain-tunnels-bayshore-to-4th-king/
Rafael氏自身は、残存しているDTXトンネル付近については、混合運行でも良いんじゃないの?という立場のようですが、CHSRAのプランナーにはあくまで
複々線化を徹底させようと検討している面々もいるようです。
=============================
今回の要点は・・・
・Caltrainが免除措置を得た混合運行において貨物列車は排除される。
さらにPTC採用および踏み切りの改善は大前提である。
(CHSRAにおいて踏み切りは完全排除されることは以前のスレッドで
見たとおり)
・CHSRAは今もってFRAに対して高速列車を走行するための新法制定ないし
免除取得の要請をしていない。
・高速鉄道運行には軽量列車を走行させるために、これまでのFRA基準を
逸脱した何らかの特例措置は必須であり、その前提としての
アクティブセーフティの導入は欠かせない。
・ポジティブセーフティ(頑丈な列車前提)においても、10 mph ~15 mphを
越える速度での列車VS列車の衝突では(安全の)効果は期待できない。
・CHSRAはこれまで専用軌道化を推し進めてきたが、目下、サンフランシスコ
半島先端のDTXトンネルが複線・混合運行が必要となる区間として残存
している。
(2008年のCHSRAサイトにおいて、混合運行が想定されるとしていた
サンノゼ~サンフランシスコ間において、現実には末端部のDTXトンネル
付近のみ残存、もう一方のロサンジェルス~アナハイム間では
混合運行区間が消滅した?)
・Caltrainの取得した免除措置は、FRAの混合運行に関する態度軟化を
示している。(この変化はCHSRAとしてもウェルカムである。)

CHSRAサイトPVより: SF Transbay駅の描写
さて、以上の情報から、pokesaeki君がいつも断定しているように、
「日本の新幹線は不適格でありすでに競合から排除されている」のかどうか、
そのことについては、皆さんの判断に委ねたいと思います^^