
Vol.5 カザフスタン
中国のウルムチを発車した列車は、中央アジアへと進んでいく。僕らが乗ったのは、ウルムチ発アルマトイ行きの国際列車。中国の最新寝台車両が使われていた。しだいに車窓から家が消え、茫漠(ぼうばく)としたステップ地帯に入り込んでいく。干からびた草と地平線。何時間もそんな風景を眺め続ける列車旅……。気温もぐんぐんあがっていく。アルマトイからは旧ソ連製の車両に揺られてタシケントへ向かう。

深夜にウルムチを発車した列車は、朝、カザフスタンとの国境を越えた。緩衝地帯を列車はスピードを落として進んでいく。カザフスタンがまだ旧ソ連だった時代には緊張していた国境も、いまは鎮まりかえっていた。ステップ地帯がはじまる。

カザフスタンに入ったふたつ目のドルズバ駅。標準軌車両で入線し、台車を交換し、広軌の線路を進みはじめる。線路が4本。どの組み合わせが標準軌なのか、ホームに落ちていたヒモで計ってみる。乗客たちはなにをしているのか不審顔。僕らには大切なことなんです。

列車はアクトガイに到着した。東半分が塩湖、西半分が淡水湖という、バルハシ湖でとれた巨大なまずの薫製がホームで売られていた。こんな大きな薫製、どうやって持ち帰るのだろうか。アラル海が縮小してしまったため、バルハシ湖は中央アジアで最も大きい湖に昇格した。

出稼ぎお父さんが帰省する。子供へのお土産は、中国で買ったこの自動車。しかし大きすぎないか。コンパートメントにはとても入らず、デッキにおいていた。受けとる子供は、お父さんのこういう苦労をなにも知らないだろうなあ。奥さんは持ち帰る現金しか興味がないだろうし……。

アルマトイII駅に着いた。ここからタシケントに向かう列車情報が錯綜(さくそう)していた。タシケントにいる知人は、列車は4~5日おきにあるというのだが、時刻表やサイトを調べても見つからない。不安を抱えて切符売り場に並ぶ。英語が通じない。親切な青年が通訳してくれる。「あった」。2日後の朝5時5分。列車がつながった。

列車はアルマトイI駅発。駅に入るとすぐに警官の尋問を受け、交番に連れていかれた。なにやら台帳に書き込まれる。これで滞在登録は終わった? わけがわからぬまま解放され、ふと見上げると駅舎に宿が。泊まってしまいました。列車を見ながら洗濯もしてしまいました。

アルマトイ市内の屋外レストラン。羊肉を使ったサラダにパン。盛りつけも、なんだかヨーロッパ風で、品があります。これで400円ほど。ちょっと高いと思うのは、中国の物価にすっかり染まってしまったからか。

パンフィロフ戦士公園は、アルマトイ市の中心街にある。木々の間の道を進んでいくと、突然、きんぴかの教会が。この違和感はなに? 表示を見ると、ロシア正教のゼンコフ正教会。イスラムの国では妙に、目立つ教会だった。


アルマトイの繁華街の路上ではなんでも売っている。ズボン、シャツ、おもちゃ……。気温は40度を超えているというのに毛皮の帽子も。でも、一番人気は携帯電話とsimカード屋。どこの国も同じです。両替屋がやけに多いのは、ロシアへの出稼ぎが多いため?

雪をかぶった天山山脈が、どこからでも眺めることができるのがアルマトイ。高い気温と雪の山というのが、アルマトイの夏。この街は、雪解け水に潤されるオアシス都市。この眺めを見たくて、シベリアから列車に揺られてきた? ちょっと当たっています。

アルマトイから乗ったのは、ロシアのノヴォシビルスクからタシケントに向かう列車だった。ロシア、カザフスタン、ウズベキスタンを通る国際列車。食堂車があって、そこでつくった肉まんの車内販売。中国ではなく、ロシア風の肉まんだ。

とにかく暑い車内。おそらく40度は超えていた。ロシアの旧式車両に冷房など望めない。安全上の配慮なのか、窓もほんの少ししか開かない。水を飲み、ベッドでだらだらとするしかない。中央アジアの夏の旅は、この暑さとの闘い。水は1日4リットルくらい飲まないと危ないそうだ。

恋人と別れて傷心の列車旅? 家族と別れて隣の国に働きに? いえ、違います。コンパートメントが暑くて、なかにいることができないだけ。僕も若干、風通しのいい通路で涼んでいた。難点は椅子がないこと。4時間、5時間と立ち続けて、翌日は筋肉痛。辛い旅です。

ウズベキスタン国境が近づいてきた。と、当然のように車内に登場する両替屋。ロシア・ルーブル、ドル、ユーロ、カザフスタンのテンゲ、ウズベキスタンのソム。なんでも両替に応じてくれる便利な存在だ。陸路で国境を越えていくときの、強い味方。札束は右下の袋に無造作に入っている。

列車は中央アジアの乾燥地帯を西へ、西へと進んでいく。これから何回、こんな夕日を見るんだろうか。この日の夜にシムケント。深夜にカザフスタンとウズベキスタンの国境を越える。明日の朝にはタシケントだ。
※写真は2010年8月28日~8月31日の取材で撮影したものです
※各国の現在の情勢については、外務省の海外安全ホームページなどでご確認ください
(更新日:2011年03月24日)
http://doraku.asahi.com/earth/clickdeep/110324.html
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カザフスタン。
イメージがピンとこないなぁ。
バイコヌール宇宙基地と、
消滅寸前のアラル海くらい?
( ´・ω・)b
旧ソビエトだけあって、
線路はやっぱり広軌なのね。
境界駅でレールが4本あるのは、
軌間が近いから3本では引けないのかな。
( ´・ω・)
長距離列車って、
一日何本じゃなくて、
何日に一本の割で走ってるのね。
乗り損ねたら大変だぁ。
( ´・д・)
~ 以上 ~