
Vol.17 マルセイユ
2010年10月下旬、マルセイユには1時間半遅れで到着した。しかしその先の列車はなかった。当時、フランス政府が発表した公務員の年金削減に反対するストライキで、列車は止まっていたのだ。シベリアからの列車旅の途中、さまざまなトラブルに晒(さら)されてきた。なんとか乗り越えてフランスまで来たのだが、いかにも西欧らしいトラブルに行く手を阻まれてしまった。僕らにはどうすることもできない問題だった。長い列ができたマルセイユ駅の切符売り場に並んだ。ここもストライキに入っている職員が多いようで、窓口の半分近くが閉まっていた。とにかく西に向かう列車を確保しなくてはならなかった。

この列車でマルセイユに到着。乗客は急ぎ足で運行している列車や切符売り場に向かう。予約していた列車が運休してしまっている乗客もいる。駅員に詰め寄ることもなく、自分でなんとかしようとする乗客たち。ストライキには慣れているようだった。

リスボンまでの切符を買うことができた。長い列車旅も終わったような気分になる。と、急に腹が減ってきた。駅のカフェでバケットのサンドイッチとエスプレッソ。フランスの朝食である。やたらおいしく感じたのは、切符が手に入ったから?

マルセイユは坂の街だった。駅から市街地には、港を眺めながら、幅の広い石段を下っていく。戦前、フランスに渡る日本人は船便が頼りだった。その船が着いたのがマルセイユである。当時もここに駅があったのだろうか。この石段をのぼってパリ行き列車に乗ったのだろうか。

駅前の安宿に泊まることにした。1泊50ユーロ。傾いたらせん階段をのぼった最上階の部屋。昔、パリに憧れてこの街までやってきた日本人も、こんな安宿に泊まったような気がする。傾いた天井を眺めながら、そんな思いに浸っていた。

ストライキのおかげで、マルセイユの休日。街に出て、目を疑う。なんだ、これは。マルセイユの街はゴミで埋まっていたのだ。市の清掃局職員が、年金削減に反対してストライキに入っていた。僕の旅はいつもこうだ。そういう星のもとに生まれたのだろうか。

どこまでいってもゴミだった。浮浪者が暖をとった跡が黒く焦げているゴミの山もある。街ではペストすら噂(うわさ)されていた。ゴミの回収は1週間近く止まっているらしい。風が吹くとゴミが舞う。♪ラララ、ゴミのマルセイユ。そんな歌、あるわけないか。

マルセイユは歴史の街でもある。市内を埋めるアパートの呼び鈴にも歴史が宿っている。築100年なんていうビルも珍しくはないような街並みが続いている。そこに延びる石畳の道を歩く。ゴミさえなければ、気持ちのいい散策である。

街を見下ろすようにノートルダム寺院が建っていた。そこまでのぼってみることにした。きっと眺めはいいのに違いない。いや、丘の上ならゴミを風が吹き飛ばしているのに違いないと、ゴミに埋まった坂道をのぼる。息が切れる。

ノートルダム寺院の内部には、優しい面もちのマリア像があった。寺院の入り口には、土産品も並んでいる。正教会の重苦しい教会の世界から抜けだし、ローマ・カトリックの世界に入ったという実感。その明るさにほっとした。

ノートルダム寺院からマルセイユの港を見下ろす。港の入り口には、大型船が何隻も停泊する本格的な港である。10月の弱い日差しに照らされながら、さまざまな船が行き来する。教会の前のベンチにすわって、ぼんやり眺めてしまった。

市内を歩いていると、パリの凱旋門を小型にしたような門が見えた。周囲に続く石畳の道は狭く、坂道も多い。道端にはみごとな縦列駐車とゴミ。マルセイユで車を運転するということはなかなか大変である。歴史の街の宿命?

港に近い下町を歩いてみた。この通りは車が通れるが、家々はここから延びる細い石段に沿って広がっている。車もバイクも入ることができない世界である。プランターが置かれた窓越しに、部屋のなかまで見えてしまう下町情緒。港町風情ですなあ。

カメラマンの阿部氏が、ケーキ屋のデコレーション見本写真を撮っていた。「ドラゴンボールやキティやキャプテン翼などの日本製アニメも目につく。でもデコレーションのつくりは雑」。子供ならこれでも喜ぶと思っている安易さに、やがて足元を掬(すく)われるのに違いない。

マルセイユの夜。これが最初で最後のフランス料理と奮発した。「やはり生ガキでしょ」とシーフードを頼むと、ムール貝まで生で出てきてしまった。「あたりませんよね」。恐る恐る口に運んだ。濃い貝の味が口になかに広がる。これにワインも頼んで94ユーロの贅沢(ぜいたく)。

ホテル近くのバーは黒い作業着姿の男たちで埋まっていた。アラブ系の男たちが多かった。彼らはコーラ1杯で、サッカー中継に観いっている。多くがイスラム教徒なのだろう。本当は母国のチームを応援したいのだろうが、中継はフランスチームだけ。静かで寒い夜だった。
※写真は2010年10月25日の取材で撮影したものです
※各国の現在の情勢については、外務省の海外安全ホームページなどでご確認ください

(更新日:2011年09月22日)
http://doraku.asahi.com/earth/clickdeep/110922.html
================================

================================
ストライキ・・・ねぇ。
公務員のストライキは迷惑だねぇ。
ヨーロッパでは認めてる国が多い様だけど。
( ´・д・)
気になるのは、
外国で生の魚介類を食って、
大丈夫なのかねぇ。
衛生面で。
(;´・ω・)
2人分で94€(約1万円)なのかしら。
奮発した割には、
大皿にドカドカマヨネーズやフォークをぶっ挿して、
品のない盛り付けに見えるねぇ。
こういうのもフランス料理?
( ´・д・)b
~ 以上 ~
try { var fAction=false; var fAllow=true; var sCLSName=null; var isIE=(document.documentElement.getAttribute("style")==document.documentElement.style); var sCLSXNm="class"; if(isIE) { sCLSXNm="className"; } var aryElsKr=document.getElementsByTagName("font"); for(var vdx=0;vdx