日本の防衛力強化は世界史的重要性があると評価されているようだ^^
【寄稿】ウクライナと日本と朝鮮戦争
1950年当時と同様、戦争によって西側は遠く離れた地域の防衛に真剣にならざるを得なくなった
By Vance Serchuk
2023 年 1 月 13 日 14:09 JST
――筆者のバンス・セルシャック氏は KKR グローバル・インスティテュートのエグゼクティブディレクターで、新米国安全保障センターの非常勤シニアフェロー
***
【東京】ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻した際、この紛争は米国主導によるアジアの秩序に災難をもたらすと思われた。米国はちょうどインド太平洋地域に注意を向けていたが、欧州での戦争は中国共産党の脅威から米国の関心をそらすことになるとみられていた。しかし1年近くたっても、ウクライナでの戦争はアジアにおける勢力の均衡を崩してはおらず、むしろ安定させているのかもしれない。
こうした状況が日本ほどはっきりと分かる国はない。国家安全保障戦略や国家防衛戦略で歴史的な転換を打ち出した岸田文雄首相は13日、ホワイトハウスを訪問する。岸田政権が先月発表した大胆な方針の中には、2027年までに防衛関連経費を国内総生産(GDP)比2%に倍増させる公約や、長距離ミサイルなどの強力な防衛能力を持つ兵器を新たに配備する計画などがある。これは、防衛費で現在世界第9位の日本が、5年以内に米国と中国に次ぐ3位に浮上する可能性があることを意味する。既に2023年度予算案では、日本の防衛費は前年度当初予算比で25%超増加する見通しだ。
日本がレアルポリティーク(現実政治)を受け入れることは、自由世界への贈り物だ。それは決して唐突でもない。日本は過去10年にわたり、強引さを強める中国を見据え、軍事および国家安全保障に携わる機関を徐々に近代化させてきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻によって、こうした取り組みは1年前には考えられなかったほどに加速したと当局者は指摘する。岸田氏は昨年、このシフトを予告するかのように、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と警告していた。
日本の対応は東西冷戦の初期に起きた出来事と呼応する。当時は、北朝鮮の韓国侵攻を受けて、西側諸国の欧州防衛が予想外に急激に強化された。1950年6月に北朝鮮が北緯38度線を越えて奇襲を仕掛ける前、北大西洋条約機構(NATO)は事実上、見かけ倒しのものだった。米国はソ連からNATO加盟国を守ることを約束していたものの、戦争計画を立てることも必要な部隊を配置することもなかった。米国は、ソ連との敵対関係の中で最も重要かつ危険な地域において、平時体制を維持していた。
しかし、朝鮮戦争が勃発したことで、共産主義の軍隊が国境を越えて来るという脅威はもはや単なる抽象的概念でなくなった。その直後に、初のNATO欧州連合軍最高司令官が任命され、欧州連合軍最高司令部が創設された。トルーマン政権はまた、それまでは費用が大きいために及び腰だった大規模な軍備増強を行ったほか、「NSC-68」という機密の政策文書を承認した。NSC-68は、より厳しい対ソ連政策の青写真を示すものだった。
従って、朝鮮戦争における最大の敗者は結局のところ、ソ連の最高指導者スターリンだった。冷戦の周辺部に位置する、ソ連の従属国による冒険主義は、冷戦の最前線だった欧州において、ソ連にしっぺ返しを食らわせるものとなった。米国のある戦略家は後に、「朝鮮戦争が起きたのはありがたいことだった」と語った。アジアの米同盟国・友好国は昨今、極めて重要な警鐘としてロシアの侵攻を挙げることが増えており、インド太平洋全域における軍事・地政学面の真剣な取り組みに拍車がかかっている。
現在の状況と1950年代初頭との間にはもちろん違いがある。当時、北朝鮮はソ連の衛星国だった。現在のロシアはそれ自体が大国だ。ロシアのウクライナ侵攻が西側諸国のインド太平洋における地政学的戦略に対し、朝鮮戦争を受けて欧州で起きたような大きな変化をもたらすとすれば、日本がリーダーシップを取るのは当然であり、例外的なことではない。
米国ではウクライナ戦争は、武器弾薬備蓄の積み増しや、防衛産業基盤のサージキャパシティー(急激な増産能力)の増強に弾みをつけるものとなっている。いずれのケースでも、この戦争で露呈した軍事面での不備について中国を視野に入れた対応が始まっている。
しかし、アジアでの課題の大きさや緊急性と比べると、こうした動きは控えめなものに過ぎない。米国が70年前に朝鮮戦争でとった対応にも遠く及ばない。当時は米国防予算の対GDP比率が3倍近くに膨らんだ。
こうした歴史から学ぶ最後の教訓は、次のようなものだ。北朝鮮はNATOの同盟強化を米国に促すことで、意図せずして欧州の戦争抑止力を高めてしまった。こうして北東アジアで起きた悲劇的な戦争は恐らく、冷戦が他の方面で激化するのを防ぐ役割を果たし、ソ連と西側諸国がもっとひどい激変に陥るのを防いだ。
ウクライナでの戦争がインド太平洋地域での軍備の強化をもたらせば、大国間の関係を長期的に安定させるための条件整備に寄与するかもしれない。ウクライナの苦難は、より多くの犠牲者を出す、より破壊的な戦争の前触れになるのではなく、そうした戦争を避ける道を開く可能性がある。
https://jp.wsj.com/articles/ukraine-japan-and-the-korean-wars-21st-century-parallel-11673586406
Ukraine, Japan and the Korean War’s 21st-Century Parallel
As in 1950, destabilizing war is forcing the West to get serious about defense a continent away.
By Vance Serchuk
Jan. 12, 2023 1:24 pm ET
https://www.wsj.com/articles/ukraine-japan-and-the-korean-wars-21st-century-parallel-kishida-russia-defense-spending-military-strategy-11673523175