鉄道
2014年04月24日(木) 11時52分
日本と世界各国の「フリーゲージトレイン」その違いは?

軌間可変列車の実用化では世界でスペインが先行している。写真は両端に動力車を連結した「タルゴ250」(スペイン国鉄での形式はS130形)
第3世代となる新試験車両の走行試験が始まった軌間可変電車(フリーゲージトレイン、FGT)。日本以外の軌間可変車両といえば、すでに営業運転を行っているスペインの例が世界的に有名だが、他にもさまざまな技術が開発されている。主な軌間可変システムをまとめてみた。
【スペイン】
実用的な成功例として最も早く軌間可変車両を実現したのはスペインだ。スペインの在来線は軌間1668mmの広軌で建設されたため、日本の新幹線と同じ標準軌(1435mm)を採用している欧州他国への乗り入れには国境での台車交換が必要だった。
こ れを解決したのが、1968年に登場した軌間可変機構を備えた1軸連接客車「タルゴIII RD」形だ。「タルゴ」はもともと、曲線の多いスペインの在来線(広軌・1668mm)を高速走行することを目的に開発された客車で、カーブでの通過をス ムーズにするために左右の車輪を結ぶ車軸がなく、それぞれが独立して回転する独特のシステムを採用していたが、車軸のない構造だったことが軌間可変機構に は有利となった。
「タルゴ」の軌間可変機構は国際列車用として開発されたが、1992年以降スペイン国内で急速に整備された高速新線(新幹線)網 は基本的に軌間1435mmの標準軌となっているため、近年は高速新線と在来線の直通列車用として国内でも軌間可変車両の需要が高まっている。現在は両端 に軌間可変機構を備えた機関車を連結した「タルゴ」編成も活躍している。
2013年7月に脱線事故を起こした高速列車「Alvia(アルビア)」も、タルゴ客車の両端に機関車を連結した構造の「タルゴ250(メーカーでの名称)」と呼ばれるタイプの車両だったが、軌間可変機構は事故とは無関係だ。
ス ペインの軌間可変車両は「タルゴ」だけと思われがちだが、軌間可変機構を備えた電車やディーゼルカーも既に営業運転を行っている。同国の車両メーカー、 CAF社の軌間可変システム「BRAVA」は日本のFGTと同様に車軸のある構造で、スペイン国鉄(renfe)のS120形高速電車、594.2形 ディーゼルカーなどに使用されている。CAF社は同システムを既存車両の改造にも使用できるとしており、実際に594.2形ディーゼルカーは広軌用だった 車両を改造して登場した。
http://www.youtube.com/watch?v=UiqUwq5piRU
(BRAVAシステムの解説動画)
これらの車両は動力分散式の軌間可変車両のため、日本のFGTと一見似ているが、大きく異なるのが動力 伝達の方式だ。日本のFGTが台車に取り付けたモーターから車軸を駆動する一般的な電車のシステムであるのに対し、S120形電車などはディーゼルカーの ように、車体に取り付けたモーターからシャフトで車軸を駆動するシステムを採用している。
今のところ、営業運転を行っている動力分散式の軌間可変 車両は世界でもこれらの車両だけだが、営業最高速度は250km/hで、日本のFGTの設計最高速度よりやや低い。軸重もFGTの新試験車両が最大 11.5tのところ16.2tで、欧州では標準的だが日本の新幹線より重い。
【欧州~ロシア方面】
欧州では、1435mmの西 欧・東欧諸国と旧ソ連諸国をはじめとする軌間1520mmの国々との直通も輸送のネックとなっており、軌間可変車両の研究開発が行われてきた。ポーランド では「SUW2000」と呼ばれる客貨車用の軌間可変システムが開発され、リトアニアやウクライナへの国際列車に使用されている。
SUW2000 の特徴は、軌間変換のシステムが輪軸内にすべて収まっている点だ。日本のFGTやスペインのタルゴ、BRAVAシステムでは、車輪の位置を移動したあとに 固定するロック装置が車輪の外側にあり、軌間変換の際には線路の外側に設けた支持レールが台車外側の軸箱を支え、車両の重さが車輪にかかっていない間に軌 間を変更する。
これに対し、SUW2000は車輪の輪軸内にロック装置が収まっており、車輪に車体重量がかかったままで線路の内側に設けられた変 換装置を通過して軌間変更を行う。ドイツで開発されたDBAG/Rafil Type Vと呼ばれるシステムも同様の機構で、両者は線路に設置する軌間変換装置も共用できる構造となっている。
http://www.youtube.com/watch?v=-pHExOfYkYg
(SUW2000の解説動画)
これらのシステムは国際列車の台車交換や輪軸交換の時間を省くことが目的で、今のところ客貨車のみに使用されている。最高速度も160km/hとなっており、高速鉄道と在来線の直通運転を目指す日本のFGTとは開発・使用の目的が異なるといえるだろう。
【スイス】
ス イスには「メーターゲージ」と呼ばれる軌間1000mmの狭軌鉄道が多く存在する。「ゴールデンパス・ライン」と呼ばれる観光ルートも軌間1000mmの 路線と1435mmの路線が混在し、2回の乗り換えを強いられているが、同ルートを構成する狭軌のモントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道(MOB)は軌 間1000mmと1435mmの両方を走行できる軌間可変客車の導入を計画している。
同線で使用を予定している軌間可変台車は通常のボギー台車だ が、車軸のない左右独立車輪となっており、2010年には既存の客車に取り付けられた試作品が公開された。「ゴールデンパス・ライン」は一部にラックレー ルを使う路線があることから、技術的な問題により全区間の直通はできないが、軌間可変客車の導入で乗り換えの回数は1回に減る。軌間可変客車による直通列 車は2015年にも運転を開始する予定となっている。
標準軌の1435mm以外で鉄道網が建設された国は日本以外にも世界に数多くあるが、一方で 新しく建設される高速鉄道はどの国でも1435mm軌間がほとんどだ。狭軌の1067mm軌間と標準軌の1435mm軌間を高速で直通運転でき、かつ欧州 の技術よりも軽量な日本のFGT。実用化が近づくにつれ、世界の注目もより高まっていくだろう。
《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

フリーゲージトレインの新試験車両。モーターに東芝のPMSMが採用された。

車輪の幅を変えることができるフリーゲージトレイン新試験車両の台車。

軌間が異なる鉄道同士で直通運転を行う方法としては台車交換もあるが、手間と時間がかかる。写真はカザフスタン・中国国境のカザフ側にある台車交換場。お客を乗せたまま編成を1両ずつ切り離し、線路脇の固定ジャッキで車体を持ち上げて台車を交換する。
http://response.jp/article/2014/04/24/221942.html
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鉄道
2014年04月21日(月) 19時41分
新しいフリーゲージトレイン試験車、そのスペックは?
4月20日から走行試験を開始した、軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の新試験車両。従来の試験車と比べ、より新幹線車両らしいスタイルが印象的だ。2022年度の開業を予定する九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)での実用化を目指し、今後3年間走行試験を行う。
フ リーゲージトレインの技術開発では、従来の試験車両を使ったこれまでの走行試験の結果、専門家による技術評価委員会で「基本的な走行性能に関する技術は確 立している」と評価されており、残る課題は耐久性の検証・分析となっている。新試験車両はフリーゲージトレインの実用化に向け、耐久性や保全性などを分 析・検証する目的で2012年度に設計・制作に着手し、今年3月25日に熊本総合車両所(熊本市)に搬入された。
【車体・内装】
4両編成で、鹿児島中央方が1号車、博多方が4号車。これまでの第1世代、第2世代試験車が3両編成だったのに対し4両編成となったのは、機器を編成全体で分散し軽量化を図ることと、実際の営業運転で使う車両に近づけることが目的という。
メー カーは1・3・4号車が川崎重工業、2号車が日立製作所で、それぞれ1号車から「FGT-9001」~「FGT-9004」のナンバーが記されている。車 体幅は2945mm、高さは3.65m。全長は中間車(2・3号車)が20500mm、流線型の先頭部の長さが8mある先頭車(1・4号車)は 23075mmとやや長い。カラーリングは「火の国・九州」をイメージしたというシャンパンゴールドとディープレッドの塗り分けで、先頭車の両側側面には 「FGT」のロゴを描き、外観のアクセントとしている。
車体はアルミダブルスキンの気密構造で、機器類を除き1・4号車、3・3号車でそれぞれほ ぼ同様の構造。先頭車のライト周りの一部には炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用し軽量化を図っている。パンタグラフはシングルアームタイプで、 2号車の博多寄りに搭載している。2号車の車内には44人分の座席を設置。シートは2+2の配列で、インテリアも外観と同様に赤を基調にデザインされてい る。
各車の最大重量は46t。車体構造や内装、台車など各部の軽量化を図ることにより、従来の試験車両に比べ1両あたり約2tの軽量化を実現した。
【メカニズム】
新試験車両は交流区間専用(新幹線2万5000V・60Hz、在来線2万V・60Hz)で、最高速度は新幹線区間が270km/h、在来線区間が130km/h、新幹線・在来線を結ぶ接続線では50km/h。軌間変換装置の通過時は10km/hで走行する。
動 力・ブレーキ性能は新幹線区間では九州新幹線800系、在来線区間では885系特急電車と同等という。制御方式はVVVFインバータ制御で、九州新幹線の 35‰勾配に対応するため4両全てにモーターを搭載した全電動車方式。軽量化のため編成で機器の分散を図っているため、4両1ユニットの構成となってい る。
制御装置は各車に搭載され、PMSM(永久磁石同期モーター)を個別に制御する1C1M方式。駆動装置は平行カルダン駆動を採用している。台 車はこれまでの試験車両用に開発されたものをベースに、耐久試験に備えてメンテナンス性、信頼性に配慮した構造。軸距(ホイールベース)は2500mm で、高速での走行安定性のために二つのヨーダンパーを備えているのが目立つ。軸重は最大11.5t。中間車2両にはそれぞれセミアクティブ、セミアクティ ブの左右動ダンパーを装備しており、各車体間にもダンパーを備えている。
http://www.youtube.com/watch?v=WUZU4puPhuk
(4月20日、初の試験走行で熊本駅に入線するフリーゲージトレイン新試験車両)
【その他】
新試験車両の制作費は約43億円で、全額が国費。車両は鉄道・運輸機構が保有し、維持管理をJR九州に委託する。新幹線と在来線を結ぶ「接続線」に設けられる軌間変換装置は5月半ばにも完成する予定という。
今後3年間、新幹線~軌間変換~在来線を繰り返し走行する「3モード耐久走行試験」を通常の新幹線の検査周期と同じ60万km分行う予定。検査データなどは技術評価委員会に諮り、耐久性などの評価を踏まえ営業用量産車の設計・製作に入る計画だ。
フ リーゲージトレインの最高速度が270km/hであることから、山陽新幹線区間への乗り入れに関してはJR西日本が慎重姿勢を示していると報じられている が、車両公開時に行われた概要説明の際、国土交通省鉄道局の岸谷克己技術開発室長は報道陣からの質問に対し「まずは270km/hをしっかり検証するのが 最優先」で、乗り入れに関しては「開業までにJRの関係者間で決めていただくことになると考えている」と述べた。
《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

フリーゲージトレイン新試験車両先頭車の前頭部。「FGT」のロゴが目立つ。前頭部の流線型の部分の長さは8mある


フリーゲージトレインの新試験車両。今後3年間で60万kmを走行し、耐久性などを検証する


フリーゲージトレイン新試験車両の先頭車。やや前から見上げると運転室部分が突起した形状がよくわかる

4月20日に始まった試験走行で、九州新幹線熊本駅に入線したフリーゲージトレインの新試験車両

フリーゲージトレイン新試験車のヘッドライト

フリーゲージトレイン新試験車両の先頭車、FGT-9001(1号車)

フリーゲージトレイン新試験車両の中間車、FGT-9002(2号車)。博多寄りにシングルアームパンタグラフを搭載している

フリーゲージトレイン新試験車両2号車に搭載されたパンタグラフ。新幹線・在来線の両方に対応する構造

フリーゲージトレイン新試験車両の中間車、FGT-9003(3号車)

フリーゲージトレイン新試験車両の車体間ダンパー


フリーゲージトレイン新試験車両の台車

フリーゲージトレイン新試験車両台車の軸箱周辺。軌間変換で赤い部分が可動する

フリーゲージトレイン新試験車両台車の軸箱周辺。軌間変換で赤い部分が可動する

フリーゲージトレイン新試験車両の台車。ヨーダンパーは高速安定性を目的に2つ設置されている。ブレーキディスクは中央締結式

フリーゲージトレイン新試験車両の台車内側。奥に見えるのが駆動装置の部分


フリーゲージトレイン新試験車両の運転室内。運転台はやや左にオフセットした配置


フリーゲージトレイン新試験車両の運転台。2ハンドル式

フリーゲージトレイン新試験車両2号車の車内には44人分のシートが設けられている

フリーゲージトレイン新試験車両2号車の車内に設置されたシート。外観同様に赤を基調としたデザインで、軽量化にも配慮している

フリーゲージトレイン新試験車両2号車の車内。車端部にはディスプレイも設けられている
http://response.jp/article/2014/04/21/221703.html
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( ´・ω・) ふ~ん。
~ 以上 ~