
ヨーロッパの高速鉄道車両は、どちらかといえばトンネル微気圧波対策や沿線の騒音対策、CO2削減のための空気抵抗対策よりもデザインが優先です。その理由は、やはり、設計思想を左右する地理的条件が日本と大きく異なるからだと言えます。日本では考慮すべき事項も、ヨーロッパでは考慮しなくていいということが沢山あります。

例えば、Frankfurt-Parisの映像を見ることにしましょう。普段は、この区間をDBのICE3が、最速3h48mで結んでいます。ICE3は上の画像で右側に映っている車両です。
通常より、だいぶ長い4h31m37の映像ですが、相互直通運転開始直前のプレミアツアーで撮影されたようです。音量が小さく、車内の音声はほどんど聞こえません。しかし、ドイツやフランスをはじめとする鉄道関係者が沢山乗っているせいか、SHINKANSENがどうのこうの話している会話もかすかに聞こえます。
営業運転では、Frankfurt-Mannheim(44m10頃に停車)も高速で走っており、30分程度で駆け抜けていますが、この映像では「私たちは、SNCFの寛大な支援に感謝しています」というドイツ語テロップが流れるフランス側(2h23m10頃以降)に入ってからしか全力で走っていないようです。しばらくドイツ帝国時代の名残である右側通行区間を走った後、2h46m30付近からTGV東ヨーロッパ線(LGV Est)への連絡線に入り、2h48m55から4h9m40までTGV線を走ります。MannheimからLorraine TGV(2h54m55-55m10頃に通過)までは、営業運転でも在来線です。
この映像を見ていると、ICE3はほとんど大平原の中を疾走しているのがわかります。駅の周りで無ければ、人家も多くはありません。特にフランスのTGV線内では、それが顕著です。例外は、Neustadt an der Weinstrasse(1h4m45-5m5頃に通過)からKaiserslautern(1h26m20頃に停車)までの区間です。この映像に映っているトンネルは、ほとんどがこの区間に集中しています。短いトンネルが断続的に続いているのがわかります。1h20m55-21m35頃にトンネル断続区間最後となる1,347mのトンネルを通過します。ドイツ側で最も長いトンネルですが、先ほど書いた在来線の区間です。計算すると、この時のICE3は140km/h程度でしか走っていません。
最も長いトンネルは、フランス側にあるTaissyのトンネル(3h33m30-40頃に通過)です。それでも、1,700mしかありません。そして、1kmを超えるトンネルは先ほどあげたトンネルとあわせて、この2つしかありません。

日本にも所要時間が3h50mほどで、新幹線と在来線の両方走る列車があります。それは、秋田新幹線です。東京-盛岡は東北新幹線、盛岡-秋田は田沢湖線・奥羽本線を走っています。上りは「こまち 12号」が3h49m、下りは「こまち 41号」が3h50mで東京-秋田を結んでいます。

右手前が秋田新幹線「こまち」に使われているE3系です。200系・E1系・E2系・E4系・E5系に交ざって走っています。

こんな顔のE3系もあり、E3系単独の「こまち」が走ることもあります。見ての通り、E3系は400系(全廃)と同じように先頭形状がTGVやICEと変わらない程度の傾斜になっています。
ただ、やはり日本を走る新幹線です。平原を走っているわけではありません。E3系「こまち」が走る東北新幹線の区間にも、トンネルが沢山あります。中には10kmを超えるトンネルもあります。
この映像は「こまち」も走っている郡山-仙台の映像です。5m5-7m30頃に11,705mのトンネルを通過、12m-14m20頃に11,215mのトンネルを通過します。
先ほどのICEが4h30m以上で1kmを超えるトンネルを2回通過しただけだったのに対し、新幹線は30m足らずで10kmを超えるトンネルを2回通過しているわけです。ちなみに東北新幹線には、25kmを超えるトンネルも2つあります。現在ではスイスにあるトンネルなどに抜かれましたが、開通当時は陸上トンネルとしては世界最長でした。それでも、日本がいかに「山がち」な国であるかがわかる証拠と言えます。
4h30mを細かく見るのが面倒だと言う人は、この映像でも理解できるかもしれません。ThalysのCMで、Paris-Amsterdamの早送り映像です。撮影当時のThalysはParis-Brusselsが高速新線、Brussels-Amsterdamは在来線です。Paris-Brusselsでトンネルと呼べるようなトンネルは、途中スローモーションになる1か所しか出てきません。それでも1km未満でしょう。
一方、新幹線のCMはというと、いきなりトンネルの中。やはり、日本とヨーロッパでは地理的条件が異なるのがわかります。
以下、おまけ

日本の空を飛ぶ飛行機の数々。日本上空を通過するだけの飛行機もありますが、国内線に使われているBoeing 747-400D型機や一部のBoeing 767-300型機などは対応していないため、相殺すると大して変わりありません。これでも少ないのでしょうか。確かに、海外には腐る程、飛行機が空を飛んでいる国もありますが・・・
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