
Vol.4 バンコクからマレーシア国境まで
バンコクからシンガポールまで南下の旅に出ることにした。このルートはマレー鉄道として知られている。が、それは急行に乗る人たちの話であることを、事前に見た時刻表が教えてくれた。我ら鈍行組は、出発する駅すら違っていたのだ。そしてマレーシア国境のスンガイコロクまでの3日間は、まさにタイ式の列車の流儀にどっぷりと浸(つ)かることになる。タイの鈍行車両は、沿線の男や女たちの物売りの場と化していた。あの手この手で食べ物を売り歩く。そこはタイ社会の縮図でもあった。



最初に口にした車食は、この汁なし麺(めん)。新聞紙のなかにビニールを敷いてくるんである。これで5バーツ、約15円。鈍行の車内で売られるものは、乗客の懐ぐあいがわかっているかのように安い。おかずが何種類も載った弁当ですら20バーツ、約60円──。

列車の出発の合図はこの鐘。駅員が「カーン、カーン」と鳴らすと、列車はゆっくりと動きはじめる。アジアだな。窓から吹き込む南の風が心地いい。そのうちに眠くなってしまうのは、やはりタイの風に吹かれたから。目覚めると、緑の水田の間を走っていた。

新手の物売りが登場した。金属の棒にフックをとりつけ、そこに菓子、果物、ジュース、ウインナなどさまざまなものをつるして売り歩く。先端にもフックがつき、荷だなにひょいとつるす。休むふりをしながら乗客の買う気を誘う。手作り販売棒に、しばし脱帽。

途中からマレーシアまでつながる幹線を走った。鈍行は冷房がないので、デッキのドアや後ろのドアは開けっ放し。だから、幹線といっても単線の線路が丸見えになる。南国の強い日差しが線路に降り注いでいた。

1日目に乗った列車の終点はランスワン。駅で聞くと、明朝にハジャイ行きの鈍行が1本あるという。ここに泊まることにした。しっかりとした市場と屋台街があるのは、いかにもタイ。ランスワン駅から街の中心までバイクタクシーで5分ほど。

翌朝、ランスワンから鈍行の旅がまたはじまる。昼は定番の駅弁。ご飯の上に香辛料をたっぷり使ったいため物や野菜が載る。これで20バーツ、約60円。乗客はタイ人ばかりだから、味付けはかなり辛い。水も一緒に買わないと、口のなかが大炎上だ。

鈍行は急行代が財布にこたえる人々の乗り物。彼女の瞳から、若くして結婚し、夫が別の女に走ってしまった人生を想像してしまった。すいません。でも、そういう女性、タイにはすごく多いんです。

突然のスコールが鈍行を襲う。空が黒くなり、鳥が忙しく飛び交い、不吉な風が吹くと、必ずスコールに街や森が洗われる。車内の乗客は、あわてて窓を閉めながら、「これでちょっと涼しくなる」とつぶやいている。雨期のアジアの風物詩?



ハジャイに1泊。翌朝、マレーシア国境のスンガイコロク行きに鈍行に乗った。イスラムグループが、タイ政府に反旗を振りかざす一帯。テロ事件も起きている。駅周辺には急に兵士の姿が目立つようになった。この女性を守っているわけではありません。

ハジャイから南は、急にイスラム教徒の姿が多くなる。男性は頭に白いキャップ、女性は頭をすっぽりと隠すスカーフ。なかには黒いチャードルで顔まで隠し、手には黒い手袋……と徹底して肌の露出を控える女性もいる。傍から見ると、相当に暑そうなのだが。


マレーシアとの国境に到着した。川が国境になっていて、橋の上のゲートの向こうがマレーシアである。スンガイコロク駅から暑さのなかをとぼとぼ10分ほど歩くと、この国境に着いた。さてマレーシアではどんな鈍行列車が待っているのやら。
※写真は2010年4月26日~4月29日の取材で撮影したものです
※各国の現在の情勢については、外務省の海外安全ホームページなどでご確認ください
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http://doraku.asahi.com/earth/clickdeep/100629.html
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なかなか楽しそうね。
( ´・ω・)
ところでタイと言えば、ここの数枚の画像に写った女性達の中にも、
何人か男性がいらっしゃったりするのかしら。
(;´・д・)b
~ 以上 ~
