
Vol.6 ベトナム(1)
ベトナムのホーチミンシティからハノイまでローカル列車の旅に出た。その距離は1700キロを超える。東京から博多までが約1100キロだから、それよりも600キロも長い。この2都市を結ぶ列車は、1日わずか5本。所要時間は様々で、最も早い列車が29時間30分、最も遅い列車が42 時間30分……。時刻表を見ると、最も遅い列車でも、かなり多くの駅を通過していく。それでも乗りっぱなしで42時間30分……。平均時速40キロ。
遅い。これはもう立派なローカル列車ではないか。


選んだ列車はTN2。停車駅が多く、最も遅い列車。ハノイまで42時間30分もかかる。午前10時5分の出発時刻の少し前にホームに入ると、大きな荷物が次々と積み込まれていた。まさにベトナムモード。発展がめざましいホーチミンシティから10年ほどタイムスリップしたような世界が待っていた。


ベトナム人は、長い列車旅グッズを持ち込んでいた。ひとつがハンモック。赤ちゃんも使うが、交代で親も寝る。反対側のボックスにもハンモックがつられる。そしてゴザ。その使い方は追って実演します。このゴザは車内レンタルもあるほどのベトナム列車の必需品。

ムアンマンに停車した。この駅に停車するハノイ行きは1日3本。ベトナム人にとって、列車に乗るということは大変なことなんだ……。だから皆で協力体制。ホームなんてなくても、荷物は人力でどんどん積み込まれ、人は尻を押されて車内へ。

車内では職員が弁当を売る。はじめに食券を買うスタイルだが、多めにつくるようで食券がなくても買うことはできる。食券の意味はあるの?としばし悩み、ご飯をかき込む。肉、卵、野菜にドクダミの葉が入った暖かいスープ付き。2万5000ドン、約125円。満腹。

車両の連結器脇には、冷たい水とお湯が出る機械が置かれている。絶対に危ない水道水だと思うのだが、車内の暑さに耐えかねて、つい……。反省の列車旅。周囲のベトナム人乗客も、この水は飲まず、ミネラルウオーターを買う人が多い。本当に危険な水なんだろう。

ベトナムは米の国だと、車窓風景が教えてくれる。主食の米、ライスペーパー、フォーの麺(めん)、ライスワイン……。ベトナムの食生活は、姿を変えた米で支えられている。たしかな緑の水田。田植えや収穫が混在する。やっぱりベトナムは米の国だ。


タップチャム駅で下車。海沿いのリゾートに泊まった。ニャチャンに近い土地柄、これから新しいリゾートとして売り出し中の海だった。ホテルは1泊60ドル。コテージ風のリゾートは、ベトナム人で埋まっていた。ベトナムの経済発展を実感。

翌日、再びTN2に乗るためにタップチャム駅へ。TN2は1日1便。下車すると、24時間後になってしまう。駅前食堂でフォーの昼食。この麺はベトナムの国民食。朝食、昼食、夜食と活躍する。あっさり味は日本人の舌にも合う。

タップチャム駅を南国時間が支配する。なにしろハノイ行きは上りと下りで1日6便しか止まらない。駅は午前11時から午後1時半まで休み。この昼休み、長すぎない? 乗客も駅前でのんびり待つ。こうして僕らの体にも、ベトナム時間がしっかり入り込む。

やっと駅が開いた。ベトナムの通貨はやたら桁(けた)が多いから、こうして値段を書いてくれることが多い。ドンレーまでハードシートが25万ドン、約 1250円。約24時間、列車に揺られる旅が再びはじまる。駅職員は僕らに切符を売ると、することもなく、テレビに見入っていた。

タップチャムはチャム族の遺跡が多いことで知られている。ふと見ると、駅裏の丘にヒンドゥー文化の影響を受けた遺跡が目に入る。訪ねる時間はあったが、あまりの暑さに足が動かなかった。遺跡ファンの皆さん、ごめんなさい。この写真でお茶を濁します。

ップチャムはニャチャンに次ぐ国際リゾートを旗印としたんだろうなあ、と駅の壁を見てつぶやく。東京、パリ、ニューヨーク。最初はちゃんと時計が掲げられていたんだろう。でも……。このひなびた感じ、かえってリゾート客に受けるかもしれない。

駅の売店で3万ドン、約150円のゴザを買って、夜通し走るTN2を待つ。これさえあれば怖いものなしと意気込んではいるが、その結末は、次回を。列車をリードするディーゼル車には「ドイモイ」(刷新)の文字。いまのベトナムではちょっと古くさいのかも。
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Vol.7 ベトナム(2)
ハノイに向けてベトナムを北上する。ニャチャン、フエ、ダナンと日本人にも知られた街を通過していく。難所のハイバン峠越えのルートだ。そして、北緯17 度線を越えて旧北ベトナムエリアに。急に英語が通じにくくなる世界に戸惑いつつ、ローカル列車は北へ北へと粘り強く進み続けた。終点のハノイには、いったいなにが待っているのだろうか。

再びTN2に乗り込む。日が暮れ、いよいよゴザタイム。床に敷き、いすの下に潜り込む。腰が伸びて快適……と思ったのは寝つくまで。前後席の下にも人がいるから、その足が頭に触れる。進行方向に寝ているため、横揺れで体が左右に動く。ゴザ寝の限界を感じた。

列車が北上するにつれ、田畑をちょこちょこと歩くアヒルが多くなった。車内の暑さで思考力が鈍った頭で、その光景をぼんやり眺める。農家の人々は、ベトナム風すげ笠をかぶり炎天下の田畑で働く。皆、痩(や)せている。その勤勉さに心が洗われる。

ひと晩列車に揺られ、早朝、ダナンに着いた。ゆっくりしたスケジュールが組んであるので遅れは少ない。乗客はホームに降りて、朝食タイム。ベトナム風のフランスパンは焼きあがったばかり。ベトナム人は列車旅でも温かいものでなければ納得しない。

海沿いに走っていた列車が、急な斜面を登りはじめた。スイッチバックもある。濃い緑の山肌を縫うように高度を稼いでいく。ハイバン峠越えだ。列車はぎしぎしと鳴る軋(きし)みを山々に響かせながら、やっとの思うで峠を越える。フエはもうすぐだ。




ドンレーで列車を降りた。山のなかの小さな町だ。外国人はめったにこないのだろう。英語はまったく通じない。バイクタクシーの運転手にホテルといっても「………」。しかし人はとことんいい。この町には1週間いてもいいと思った。




ベトナムはバイク王国。どの道もバイクだらけだ。駅までバイクでやってくるから、ヘルメット持参で乗り込んでくる乗客が多い。この清楚(せいそ)なベトナム女性も、ハノイではヘルメットをもって移動? いやハノイにもバイクが置いてあるのかも。

ドンレーから乗ったSE8は、ホーチミンシティとハノイの間を34時間で結ぶ。通して乗れば、その間にケータイのバッテリーもなくなってしまう。洗面所で皆、充電していた。ベトナムもケータイなしではやっていけない社会だ。



Vol.6 ベトナム(1)
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ベトナムって、物価が安いのねぇ。
( ´・ω・)
そして、列車の本数が少ない・・・。
こんな国に、新幹線は似合わないような気が・・・。
(;´-д-)
~ 以上 ~
