日本航空(JAL)の成田(NRT)-サンパウロ(GRU)線だと思った方、申し訳ない。
国内最長路線の話です。

全日本空輸(ANA)は21日、2012年度下半期の航空輸送事業計画を発表しました。この中では、新たに国際線で成田-ヤンゴン(RGN)線、成田-デリー(DEL)線、成田-サンノゼ(SJC)線に新規就航するほか、成田-シアトル(SEA)線をBoeing 787-8型機での運航に変更することで、Boeing 777-300ER型機をねん出、成田-ニューヨーク(JFK)線をダブルデイリー(1日2往復)化することにしています。同じように羽田(HND)-北京(PEK)線もJALに対抗するためBoeing 787-8型機に機材変更し、余ったBoeing 777-200ER型機を成田-台北(TPE)線に導入、JALが機材を小型化するのと反対に、機材の大型化を図ります。
一方、国内線では岩国基地が「岩国錦帯橋空港」として民間利用が再開されることを受けて、羽田-岩国(IWK)線が新規開設されます。また、中部-石垣(ISG)線、宮古(MMY)-石垣線、札幌(CTS)-広島(HIJ)線、札幌-紋別(MBE)線が再開されます。
そして、今回「季節運航」という条件付ながら、運航再開となるのが札幌-沖縄(OKA)線です。

札幌-沖縄線は、北海道の新千歳空港と沖縄県の那覇空港を結ぶ航空路線で、直線距離でも2250km(1398mile)という距離を有します。ANAは2001年まで、JALは2008年まで運航していました。2250kmという距離は、日韓を結ぶ国際線はおろか、仁川(ICN)-香港(HKG)線や仁川-ウランバートル(ULN)線よりも長い距離です。
雰囲気としては、韓国からフィリピンに飛ぶようなものですが、これでも国内線です。アメリカの国内線、ニューアーク(EWR)-ヒューストン(IAH)線がほぼ同じ2249km(1397mile)だそうですから、日本の国土が我々の思っている以上に広いということがわかります。
札幌-沖縄線には、かつてBoeing 747-200/300/400型機が使われていましたが、今回はBoeing 737-800型機で1日1往復だけ運航されます。飛行時間は新千歳→那覇間が4時間、那覇→新千歳間が3時間10分です。

さて、そんなANAが22日、国土交通省の検討小委員会(委員長:竹内健蔵東京女子大学教授)で、「経営破綻した事業者は資格がない」として、JALを批判しました。
この小委員会は、2013年3月に羽田空港の離着陸回数増加に伴い、現在1日440便発着している国内線の枠が465便まで拡大されることを受けて、その枠をどの航空会社に配分するかを話し合うために設置されたものです。ここで、各航空会社が自分の会社に枠を割り当てるよう主張したのですが、ANAは名指しでJALを批難し、枠を割り当てないよう要求しました。
羽田空港の国内線発着枠は現在、JALが41.3%、ANAが37.4%握っています。単体ではJALが多いのですが、コードシェア(共同運航便)を入れるとANAの方がJALを上回ります。
JALに対しては、多額の公的資金が投入されており、一見するとANAの主張が正しいようにも思えます。しかし、ANAはJALの破綻によって、貨物事業などで少なくとも500億円から1000億円程度の利益を享受しており、JAL破綻の恩恵を受けているはずです。また、JALは破綻後も多くの地方路線、特に離島路線を維持しており、国民生活への貢献度はANAより大きいと言えます。また、既に再上場が決まっており、公的資金の回収も現実味を帯びています。
国土交通省では、各社が自分の会社に枠を割り当てるよう主張することがわかっていたことから、冷静に発着枠の配分を判断することにしています。

さて、JALも負けてはいません。ANAと同じ21日に2012年度下半期の航空輸送事業計画を発表しています。国際線では、成田-サンディエゴ(SAN)線、成田-ヘルシンキ(HEL)線に新規就航するほか、成田-シンガポール(SIN)線をダブルデイリー(1日2往復)化します。いずれもBoeing 787-8型機で運航します。また、ANAに対抗するため、成田-デリー線を現在の週5往復からデイリー(1日1往復)運航に変更します。その他、ANAが機材を小型化する中部-上海(PVG)線など中国本土路線にBoeing 767-300ER型機を導入し、機材の大型化を図ります。
国内線の変更は便数の増減だけで、いずれも1往復の増減に留まっています。

なお、JALはBoeing 777-300ER型機と成田-バンクーバー(YVR)線などに使われている国際線長距離線用Boeing 767-300ER型機のシートを大幅に刷新することを決めました。詳細は9月中旬、上場の時に発表予定ですが、2013年1月にまずは成田-ロンドン(LHR)線から運航を始め、成田-ニューヨーク線や成田-パリ(CDG)線などにも導入する予定です。
Boeing 777-300ER型機の場合、座席数が現在の246席or272席から232席に削減され、ゆとりを持った配置になるのが特徴です。ビジネスクラス(エグゼクティブクラス)は水平型完全フルフラットシート、全席通路直結の個室タイプになることが決まっています。プレミアムエコノミーはシートピッチが従来比+10cm、エコノミーも+6cm前後拡大される予定です。

こうなったら、JALには再びあの国際最長路線を自社運航してもらいたいところですね。現在もアメリカン航空のコードシェア便という形で、一応サンパウロへの足は存続していますが、4年後にはオリンピックもありますしね。
今回発表された成田-ヘルシンキ線が空番となっているJL409/410(成田-ローマ線で使用)とJL411/412(成田-アムステルダム線で使用)ではなく、JL413/414(この便名も昔は成田-アムステルダム-マドリード線で使用)に飛んでいる辺りからも、ある程度は上場後に路線復活を考えているのではないでしょうか。